流行語大賞ノミネートの『うつヌケ』を読んだので感想を書きました
こんばんは。適応障害で休職中(もうすぐ退職予定)のたまご豆腐です。
「うつヌケ」が新語・流行語大賞にノミネートされましたね。
「うつヌケ」は、漫画家である田中圭一さんの『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』からとられた用語です。
「うつ」というトンネルから「抜けた」人たちの体験談が載っています。
私も先日やっと読むことができましたので、簡単に感想を残しておきたいと思います。
違う部分もあったけどおおむね理解できる
冒頭にも書いている通り、私は適応障害でありうつ病ではありません。
なので分からない部分や私の症状とは少し違うところもありました。
でも共感する箇所もたくさんありました。
それが濁った寒天のところ。
何かというと、脳が濁った寒天で包まれているような感覚になるというもの。
新入社員の私が適応障害になって変わったことでも少し書きましたが、病気になってからと言うものずっと白いもやが頭にかかっている感覚です。
本では、例として「活字が頭に入ってこない」「音楽に感動できない」などが挙げられていました。
今でこそブログを書いていますが、ひどいときは本当に文章が読めなくなるんですよね。
ああすごく分かる、と思いました。
うつの人も同じなんだなぁということが分かりました。辛いんですよねこれが。
あとは、ペットを飼うことで救われた人がいるというところにも共感しました。
最近、私も本格的にカメを飼おうか迷っているのですが、やはりうつになるとペットを飼いたいと思う人は多いのだなぁと感じました。
希死念慮のあたりとか、医者に行ったら救われると思っていたところとかも、ウンウンと頷きながら読みました。
マンガだから読みやすい
前述したとおり、病気のせいで頭が働かずなかなか活字が読めなくなっている人は多いと思います。
私自身、ずっと前に買った認知行動療法の本もアサーションの本もなかなか読めていないのですが、この本はマンガになっているのでスラスラと読むことができました。
うつについて興味はあるけど、まだ何も知らない方にもオススメです。いきなり専門書は無理でも、マンガだと取っ付きやすくて良いのではないかなと思いました。
色々な職業の人が出てくる
一冊で色々な人の体験談を知ることはできるのはとても良いと思いました。
1人の体験談だと自分とは違ってばかりであまり参考にならないと思うこともあるかもしれませんが、『うつヌケ』の場合は作者の田中圭一さんも含めて17名もの方の体験談が載っています。
ゲームクリエイター、バンドマン、メーカー会社員、出版社編集長、ブラック企業経験者、3人のお子さんを持つエッセイスト…様々な職業や境遇の方がいました。
取り上げている方が多い分、一人ひとりの内容は少なめに感じましたが、誰かしら共感できる人がいるのではないかなと思いました。
うつのトンネルから抜けた人の体験談なので、とても勇気づけられる内容になっています。
印象に残ったところ「うつは心のガンだ」
「うつは心のガンだ」
これは良い言葉だと思いました。
ガンと言われて「甘えだ」なんて言う人はなかなかいないと思いますが、うつって言うと「甘えだ」って思う人が少なからずいると思うんですよね。
「うつは心の風邪」という言葉の代わりとしてぜひ使って欲しいと思いました。
「心の風邪」と言うと、誰でもかかる病気だということは分かるものの、軽いものだと思われがちということなんですね。
風邪で仕事を休むと「体調管理も仕事のうち」なんて言われて白い目で見られたりすることもあります。
でも「ガン」だったらどうだろう?その人に「ガンにならないように気をつけてないから悪い」っていう人はさすがにいないと思います。
うつになりやすい人
個人的な考えですが、遺伝的にガンになりやすい人がいるように、うつになりやすい人もいると思います。
ガンは生活習慣を見直すことで防げる部分もあるけど、それだけでは難しいこともありますよね。
タバコを吸うことで肺ガンのリスクは上がるけれど、全くタバコを吸っていなかったとしても100%肺ガンを防げるわけではないというように…。
同じ量のタバコを吸っていても、肺ガンになる人もいればならない人もいます。
うつも同じように、環境をきっかけとして発症することもあるけれど、元々の体質も影響しているのではないかなと思います。
私も仕事がきっかけで適応障害になりましたが、もっとメンタルが強い人だったら私と同じ環境にいても耐えられたと思うことがあります。
でも自分の体質やその時の環境を今更責めても、適応障害になってしまったものは仕方ない。
今後は、環境を整えて発症のリスクを下げるとともに、体質改善を図っていくしかないと思います。
メンタルの場合は、考え方のクセとかを少しずつ修正していくのが良いのかな。
今回の流行語大賞ノミネートでこの本を手に取る方が増え、社会全体のうつへの理解が進むことを願っています。